このレビューはネタバレを含みます
「プラン75」は例の事件が起きた後のifを描いてましたが
こちらは事件そのものが描かれている。
そのどちらにも磯村勇斗さんが出演されているのも面白いですね。
んーどう思えばいいんだろう?
障害者差別はいけないことです。
彼らの人権は当然守られなくてはいけません。
という大義に対して、
「じゃあなぜ?」という問いにどれだけの人が感情論抜きにして答えることができるのだろう?
劇中のセリフである、出生前検査で異常が出た時の中絶率は96%…という事柄とこの事件を結びつけて考えていることも非常に興味深い。
さとくんが障害者に対して
個人的な恨みで事件を起こしたのだとしたらもっと話は単純なのだけれど
そうではなくて、虐待や環境など障害者を取り巻く状況に絶望した結果、膨らんだ妄想で起こした事件というのが恐ろしくもあり、無視できない事件にさせている。
そこまで考えを突き詰めたという点ではさとくんは、不都合なものを隠蔽して、あるいはそのことを見ないふりをしている大多数の傍観者である我々よりも評価されていいんじゃないかとさえ思ってしまう。
(まぁ突き詰めすぎたせいで結果行動してしまうわけだけれど)
これは映画だけの脚色なのだろうけど
彼女がろう者であるというのも決してさとくんが障害者そのものを嫌っているわけではないということなのだろう。
ここからは映画の感想。
冒頭から説明があまりなく、暗めの演出による緊張感にドキドキしっぱなしだった。
水道の水止めようよー落ち着かないよー。
登場人物の直接的なセリフと障害者をモロに見せる演出が
遠回しに言ってたんじゃいつまでもこの問題の答えは見えてこないよって言ってる気がして製作者側の覚悟が感じられた。
陽子がキリスト教という設定や前半あんなだったのに
後半あまり絡んでこなかったのとかなんだったんだ?という感じ。
ラストの高畑淳子の絶叫を見ると
それでも決してさとくんを擁護してはいけないと強く思った。
あの後、夫婦は検査を受けたんだろうか