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月のmizuのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.7
・あなたのなかに私をみること、をすごく意識して描いていて、映画がうまいな……と思ってみていた。愛も憎しみも、どんなときも私たちは相手のなかに自分の姿を見出してしているんじゃないか。

・特に嫌悪の描き方が素晴らしかった。汚物にまみれて性器を握っている老人と自分の姿がオーバーラップする。それまで社会が作ってきた枠組みのなかから排斥される目線や言葉を投げかけらえてきた場合、嫌悪する相手の中に自分を見出し、それを否定するために極端な行動に出る。悲しい一人相撲が、周囲を人を加害していく。

・磯村隼人さんは本当に素晴らしい俳優。当然、宮沢りえ、二階堂ふみ、オダギリジョーも見事。オダギリジョーの明るさに救われるとは思っていなかった。人が人の誕生を喜ぶ、とは、ああいうことだよね。手放しで喜ぶ美しさが、徹底して暗い陰鬱な作品の中へ差し込む、月の光のよう。美しいシーンだった。

・傑作だと思う。ただ、一般に知的障碍者と呼ばれる人々をめぐる問題について、私は詳しくない。本作に大いに問題があるのであれば、よかったら知りたい。教えてほしいです。
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