夜

月の夜のレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
2.5
画面が死ぬほど暗い。暗闇の中を圧倒する光の象徴の月。光は希望であって、どんな人々をも平等に照らしている。
さとくんの動機は人類のためとか優生思想的な大義名分は後づけで、子どものような短絡的思考で目の前にいる障害者たちが可哀想だったから殺して解放してあげたのかもと思った。もしくは自分もいつかこうなるだとか鏡のように自己を投影しすぎて境界が分からなくなったから目の前から消したんじゃないかな。一つの思考に囚われて、取り憑かれていく様はまさに精神病患者のそれ。神様にでもなったつもりなのかな。
出生前診断の話は近いようで全然違う。生まれる前の赤ちゃんと、生まれた赤ちゃんは同じではない。「綺麗事じゃすまされない」とか「現実を見て」とか何度も繰り返されて説教クサく感じた。醜くて汚いものだけが現実ではないし隠したい部分はあったらダメですか。みんなそんな平和な場所で生きてるんですか。
宮沢りえ家庭パートと事件を交互に見せる演出も何がしたいのかよく分からない。磯村勇斗は淡々と演じていて良かった。
あとこういう映画のレビューで「考えさせられた」とか書く人は嫌いです。映画の差別を助長するミスリードはあるけど1ミリでもさとくんに共感できる部分はあっていいわけないだろ。
夜