かつてのアイドル、宮沢りえが中年女性を見事に演じている。
この役はチャレンジングだっただろうし、
もっと評価されてもいいのではないかと思う。
(宮沢りえの演技で+0.5)
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終始陰鬱で、明るい希望がほとんどない。
普通だったら観るに耐えられないのだが、
この作品が投げかける疑問によって目を離すことができなかった。
「雷ゴロゴロ」とかホラー演出はあるものの、
障害者を殺す、残虐シーンは描かれない。
虐殺を行う人物のセリフに、
「音や匂いにこだわった方がいい」というのがあり、
直接的な表現よりも、
音、そして匂いが伝わるような表現にこだわったのだろう。
(音にこだわったのなら叫び声が入った方がリアルなのだが、全くなかった)
ただこれが、私にはピンと来ず、
彼の残虐性があまり感じられなかった。
映画内での描き方も、ただのサイコパスではなく
一定の考えを持って計画的に行動しているし、
演じた磯村さんの容貌もあって、
肯定的に捉えられる懸念さえ感じた。
そういう意味ではかなり危うい作品。
それよりも問題は、
自分が「どう思うのか」ということ。
当事者ではない。
普段障害者と触れ合うこともない、
だからといって、進んでボランティアをやろうとは思わない。
やまゆり園事件を起こした植松を許し難いと思うが、
スピード死刑判決には疑問を持っている。
出生前検査はやりたい人がやればいいと思っている。
おっと、映画から離れてしまった。
事件を元に映画化した(できた)ことは大いに評価できるものの、
自分には刺さらなかった。