藍紺

ダム・マネー ウォール街を狙え!の藍紺のレビュー・感想・評価

4.0
弱小個人投資家が金融業界のビリオネア達に仕掛けた壮大な挑戦。

コロナ禍のアメリカで実際に起こった事件ということもあり、リアルな臨場感がより感じられる作品だった。
資金力がなくて下落に耐え切れなくなったり、利益が出たから利確したいと考える個人投資家の心理を巧みに利用し、空売りでその上澄みをすくって更に巨大化するウォール街のエリート達。違法ではないけど、私みたいな小市民からしたらやっぱり面白くない(笑)。

ポール・ダノ演じる投資家配信者ローリング・キティに賛同した視聴者たちが有り金はたいてオールイン。利益が膨らんでいくが利確したら負け。売りたいけど売りたくない。個人投資家たちそれぞれの揺れ動く心理描写が見事だった。

信念と信用が良い作用を生み、このケースは上手くいったが、同時に投資の危うさも垣間見える。投資は分相応にわきまえて楽しむくらいならいいが、今作のそれはほとんどギャンブルに近い。改めて、人々の熱狂が作り出す“価値”って何だろう?と考えてしまった。

事件の顛末も最後に出てくるが、大元の金貸し大富豪はビクともしない桁外れの金持ちで全くノーダメージみたいだし、ありあまる富がある所にはあるんだなあと唖然とする(笑)。

しかしローリング・キティは今どこで何してるのでしょうか?とても気になります。
藍紺

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