ABBAッキオ

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!のABBAッキオのレビュー・感想・評価

3.7
 2023年白石晃士監督。夏だ!、ホラーだ!、コワすぎ!だ!、という訳で今年も白石監督の長篇コワすぎの季節。封切りは9月だがまだ暑い、十分夏だ。ようやく見に行けた。
 おバカVtuber3人が廃墟に不法侵入して噂の「祭壇」をつぶすところから話が始まる。廃墟は「カメ止め」の場所と同じなのは一目瞭然、意図的か偶然か。ともかく突如出てきた「赤い女」に追いかけられた映像を、倒産寸前プロデューサー・工藤と、ディレクター昇進・市川、変わらぬヘタレカメラマン田代の3人が検証に行く、というストーリー。ダメダメ心霊研究家吉田の紹介で、見かけ倒し霊能者鬼村がサポートに、しかし色々タイムワープがあって……、という話。
 前提なしに見ても分かるだろうが、やはりこの映画を見る大半はコワすぎファン、白石監督ファンだろう。過去作ファンには工藤と市川コンビの復活だけで感動もの。もはや市川は工藤を完全に見切っており、工藤の攻撃はかわされまくる。そして女ネオ霊能者珠緒姐さん登場、と盛り上がる。詰め込みすぎの粗さもあるが、何しろ走りまくる持久走系モキュメンタリーとして楽しめる。これがコワすぎ最終作と聞くと、本作のラスボスがあの人物で、工藤が最後に始末をつけるのも分かる気がする。日本のブラック映像制作現場のパロディでもあった本シリーズは2020年代にはパロディとしてもあるべきではない、ということなのだろう。なお、コワすぎ!ファンには本編を見た後で、映画パンフ購入を強くお勧め。白石監督の長文インタビュー、大迫・久保山対談はじめ、これを読んで完結すると思う。
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