たくみ

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!のたくみのレビュー・感想・評価

4.2
遂に来たぜ戦慄怪奇シリーズ最新作。

シリーズ通して一番面白かった。
ここに来て更に挑戦的な作品であり、一番バカバカしかった。
だからこそ好きと思えた一作でした。

以下ネタバレ全開なので見たくない人は気をつけてください。


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話の流れはいつも通りです。
怪奇現象を定期的に撮らないと禁断症状が出てしまう3人がまた撮ってます。
久しぶりの続編なのに全員ビジュアル変わってないのが凄い。

てなわけで3人のインフルエンサーがバズるために怪奇現象を撮りに行き、不可解な現象に巻き込まれます。
その映像に映っていた赤い女を取っ捕まえてボコボコにするというあらすじです。

文章の前半と後半が合ってないぞと思ったそこのあなた、あなたの感覚は正しいですが『コワすぎ』の前では間違いです。
勉強が足りていません。シリーズ予習してから行った方が身のためです。

予習済みの人間からするといつも通りなのですが、この後の展開がかなりチャレンジングだなと感じました。
その点については後述します。

まずインフルエンサー3人だけで撮影している動画から雰囲気良きです。
変な音がなっているが正体は見せずに焦らしまくる。
ダレてしまうギリギリのタイミングで今回の主役「赤い女」登場です。

ここからのギアのあげ方が白石晃司監督でした。
白石晃司監督は出し惜しみしないから大好きなのですが本作でもさすがでした。
赤い女が登場したかと思ったら全速力で追いかけてくる。
白石晃司でしか接種できない栄養をやっと補給できた感覚です。
きちんと恐いしテンションぶち上がりました。

横の女子大生3人組は爆笑してたのですが、おそらくそれが普通の人の感覚なのだと思います。
シリーズを観てきた僕はもう向こう側に戻れない、そう悟りました。

その後はシリーズお得意の時間移動を撮影技法を上手く使って魅せていきます。
今までのシリーズよりも繋ぎ目がわからず、どうやって撮っているのか気になりました。

物語も今までで一番綺麗に繋がっていると感じました。
シリーズを通して描かれてきた工藤の「有害な男性性」を敵とみなし、それがパラレルワールドでとんでもない事を引き起こす。
それをこの世界を生きる工藤の手によって抹殺する、という着地は価値観を現代にアップデートしてきてるなと感じました。

先ほど後述すると言っていたチャレンジングだと感じたポイントは、「赤い女」を仲間にする点です。
普通のホラーなら絶対しない手法だろうし、割と後半は普通にいるのでその違和感は面白かったです。
ただいるのではなく、彼女の生い立ちをしっかり見せて、彼女も一緒に助かってほしいと観客に思わせる脚本もお見事だなと感じました。
脅威に感じていた者が味方になった途端、絶大な安心感をもたらしてくれる。
ラストはイケイケドンドンな展開で進んでいくのでとても楽しめました。

師匠役の桑名さんも素敵でした。
良い意味で軽いキャラが映画の楽しさを増幅させていたように思えます。
観客に力を貸してほしいと問いかけてくる戦隊ヒーローショー方式は笑いました。
でもあれこそが現実世界で撮られているドキュメンタリーだからこその演出ですよね。最高でした。

これで完結なのか、寂しくなるなぁ。
もっとやってくれよ監督。

【その他メモ・独り言】
・鑑賞中なんだかカメラを止めてはいけない気がした。
たくみ

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