悪魔の毒々クチビル

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

4.2
「何度でもぶっ殺してやるよ!!!」

コワすぎ!取材班が廃墟で赤い女について調べるお話。


コワすぎ!シリーズ最新作にして最終章(一応)。
前々回から「超コワすぎ!」シリーズにリニューアルするも、その後は白石監督が色々忙しくてこのシリーズに着手出来ず、結局また新たな世界線が舞台となりました。
なので極端な話、過去作を何も観ていない状態でも今作はある程度楽しめます。観ているに越したことはないけど。
ただ「超コワすぎ!」期の工藤Dはスピンオフ作品で、どうやら笑えないレベルのゴミクズ人間であることが判明していたらしく、あの世界の存在をリセットしたのは正解だったのかもしれません。

今回は工藤がプロデューサー、市川がディレクターに昇進しています。と言うか工藤のパワハラをカウンターで返せるくらいには市川も強くなっていて、ここのキャラ変含め今作には昨今の社会問題にこれまで以上に踏み込んだ内容となっています。
とは言え破天荒なノリと濃いキャラ達の応酬なんかは相変わらずで、ファンなら全然楽しめるかと。

ホラーだけでなく時間や場所の瞬間移動、パラレルワールド要素等々70分程度とは思えないくらい色々放り込まれた闇鍋状態ながら、綺麗に物語を紐解いていく展開にも引き込まれちゃう。
シリーズ恒例の霊能力者も二人出てきますが、最初に出る鬼村のギャル師匠珠緒姐さんが凄く格好良かったです。
基本的にこれまでの霊能力者達の扱いを考えると、姐さんは実質最強クラスと言っても過言ではないでしょう。
工藤も思わず敬語になっていて笑えました。
演じたのは「花子さん回」で奈々役、「蛇女回」では蛇女役だった桑名理瑛。
子役時代から白石監督の作品に出演していたようで、今後も楽しみです。

工藤も今回みたいに破天荒と人間味が上手いこと併存している設定の方が良いよね。
自分の闇を理解して破壊しに行く姿勢も良き。

中盤からはこれまた意外な展開があったり、生意気な遥の過去にちょっとウルっと来たりと良い場面がありましたが、「よし!お前も一緒に行くか!」のノリであの人も仲間にしちゃう展開がアツくて好きでした。

あと割と序盤で心霊研究家の人の話を聞いている時に映り込んだ赤い女がめっちゃ怖かったです。あんだけしっかり映っていたのに気が付かなかった…

このシリーズって回が進んでいくに連れ、過去作との繋がりや伏線を回収していく部分が魅力的でもあったので、そこの良さは失われてしまいましたがそれでも観客を物語に釘付けにする手腕は変わっておらず初の劇場でのコワすぎ!シリーズ、とても楽しめました。
最終作にしてとんでもないラストでしたが、コワすぎ!としてでなくとも何かしらの形で復活して欲しいですね。