ぶみ

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!のぶみのレビュー・感想・評価

3.0
あなたの知らない世界が、ここにある。

白石晃士監督、脚本、撮影、音響効果、大迫茂生、久保山智夏等の共演によるホラー調のフェイクドキュメンタリーで、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズ8年ぶりの新作。
投稿映像に収められていた不気味な祭壇や赤い女を検証するため、怪奇系ドキュメンタリーのプロデューサー等が廃墟に潜入する姿を描く。
シリーズは全く観たことがなく、ほぼ予備知識ゼロの状態で鑑賞。
主人公となる番組プロデューサーを大迫、ディレクターを久保山、廃墟に忍び込んだ若者を福永朱梨、小倉綾乃、梁瀬泰希、霊能者を木村圭作、桑名里瑛が演じているほか、白石監督自らカメラマン役を演じているのは面白いところ。
物語は、スクープ映像を撮るため、廃墟に忍び込んでいく様子を、あたかもドキュメンタリーかのように撮影していくスタイルで進行。
まず驚いたのは、その廃墟であり、どこかで見たことあるなと思っていたら、上田慎一郎監督『カメラを止めるな!』と同じ、茨城県水戸市にある「旧芦山浄水場」であり、その雰囲気はホラーにはうってつけ。
映像自体は、レンタルビデオクオリティなのだが、ワンカット風とした編集や、チープながらも、それを逆手に取った作風は、なかなか面白いものであり、中でも先日観たアイザック・エスバン監督『パラドクス』と同じような設定を見事にやってのけているのは見逃せないポイント。
何より、昭和かよっ、と思わずツッコミたくなるくらい皆キャラが立っていることから、物語そのものよりも、会話をずっと聞いていたくなったぐらいであり、特に師匠と呼ばれた桑名演じる霊能者の振り切れっぷりがツボ。
過去作未見でも全く問題なく、廃墟を舞台に、キャストの迫真の演技で繰り広げられるドキュメンタリータッチの映像に釘付けになるとともに、ホラーと言うよりもコメディとして観る方が正解だった怪作。

それは僕がほんもんだから。
ぶみ

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