このレビューはネタバレを含みます
念願の劇場鑑賞。
これまでの表現の集大成らしく、奇怪な現象の数々やパラレルワールド表現などが盛りだくさんでとても楽しかった。
特に原点に立ち返ったような「赤い女」のモチーフとその脅威を取り入れながらまさかの仲間になっていくというような転換と、ラストあたりの斜め上な発想など、らしさが詰まったアイデアが非常に愉しめた。
しかし同時に、その普通に「楽しめた」というのがネックな気もした。
これは「超コワすぎ！」になってからも感じていたことだが、もはや投稿者から送られてくる映像自体が出来上がりすぎているような、ストーリーを物語ってしまっているような感じが否めなかった。それは演技だったり、スマホ映像の技術的な問題だったり色々だろうけど、もはや「投稿映像」や「おわかりいただけただろうか」ポイントにおいてゾクゾクすることができなくなっている気がした。
加えて、市川と工藤の関係性の現代的な改変はまだ良しとして、師匠のキャラクターがもうかなり漫画的に振りすぎていた。今までも、お決まりの流れやキャラ的なものを楽しむ部分もあったが、今回のこれで完全に違うトーンになったなと感じた。
総じて、素人っぽい質感がリアルを演出して成り立っていた、いわゆるフェイクドキュメンタリーとしてのこれまでの「コワすぎ！」の面白さというのはかなり減ってしまっているなぁと思えてしまった。
それでも、観たいものを惜しみなく観れた満足感は充分で、しっかり良い意味で「楽しめた」ことは間違いなかった。
また違う形で新たなフェイクドキュメンタリーが生み出されるのを期待したい。
