クシーくん

新宝島のクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

新宝島(1965年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

前に見た時はフィルマークスに作品が登録されておらず、レビューしようがなかったのだが、いつの間にか登録されてる!

一部細かい所は省きながら、基本的には原作の「宝島」に沿ったストーリー展開がなされる。キャラクターを人間から二足歩行の動物に置き換える事でアニメーションならではの派手なモーションも違和感なく演出されている。

注目すべきはやはりラストシーンだろうか。
宝の在り処がとうとう判明するや豚のトリローニ氏は勿論の事、冷静だった船長やリプジー先生まで正気を失い、衣服を脱ぎ捨て、野生へ帰って宝箱のある洞窟へと群がる。果たして宝箱の中身はかつてここに宝を残した、野良犬のフリント船長が集めた動物の骨ばかりだった。つまらない宝箱の中身を見て意気消沈する一同を、ジョン・シルバーは洞窟の外から嘲笑い去っていく。欲望の前には貴賤も善悪もなく、等しく理性を失う浅ましさを動物の野生化という形で子供達に贈る、手塚のナイーブなシニカルさが微笑ましい。少しウェットに締める日本式エンディングもこの頃から確立されていたんだなあ。

声優がショーンコネリーを吹替た若山弦蔵に、星一徹役の加藤精三、ポワロ役の熊倉一雄と後の大ベテランで脇を固め、ジョン・シルバーに加藤武、ジム少年は田上和枝と豪華な組み合わせ。加藤武が意外なほど声の演技が板についていて驚いた。流石に何を演らせても一流か。
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