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妻の心のkossのレビュー・感想・評価

妻の心(1956年製作の映画)
3.8
通り、路地、商売、地所をもつ店舗と自宅。お金、親子と家庭の軋轢、長男次男、嫁姑、嫁と義兄妹、実家、浮気、不倫、淡い恋心、成瀬要素が満載。過積載で細かいドロドロの追及が少し足りないくらいだが、ラストのシークエンスまでにすでに胸に迫る。ラストは若干唐突気味だが収束で救われる。妻と迎える夫の笑顔、嫁の友人に縁談を世話する姑、子供の「この人だあれ?」という無邪気な一言に唸らされる。やはり成瀬だと。

成瀬の子供はいつも過剰な演技はなく自然体。ドロドロの深刻な場面に鞠つき、自走玩具で遊ぶ子供を挿入して異化する。成瀬効果とでも呼べる見事さだ。
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