たむ

妻の心のたむのレビュー・感想・評価

妻の心(1956年製作の映画)
4.0
巨匠がのっているときは、尋常ではない傑作が連続して作られます。
本作は成瀬巳喜男監督が『浮雲』と『流れる』の間に撮った作品で、1956年には本作、『流れる』『驟雨』があるとんでもない黄金時代です。
主演の高峰秀子さんもまさに戦後の黄金期でもあり、日本映画史の本では大きく取り上げられることのない作品であっても、この質の高さ!

映画の物語はタイトル通り、妻の心の葛藤が描かれます。
さりげない動きや表情でその感情や心理の奥深くを表現して、台詞の裏側まで感じさせる映画です。
言葉で肯定しても、必ずしも本心ではなかったり、伏線が回収されていく見事な構成も含めて、切ない世界観です。
日本映画史上の名作に挟まれているので、地味に取り上げられがちですが、そこは成瀬巳喜男監督作品、圧倒的な質の高さですね。
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