すえ

映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)のすえのレビュー・感想・評価

4.1
記録

ドラ映画を全復習してから観ようかと思っていたが、待ちきれずフライング。ドラえもんが好きな友人と鑑賞。

拙いながらも音楽をやってる身としては、この映画はとても興味深かったし、音楽がなくなるというスケールの大きい話にも惹かれた。結果としては、内容は面白くて結構楽しめた。

F先生生誕90周年作品ということもあって、気合いの入りようは随所で感じられた。まず劇中曲の『キミのポケット』が、葉加瀬太郎作曲のところから力の入りようが伺える。イントロでモーツァルトへのオマージュを入れたりと、遊び心満載。

めちゃくちゃ個人的な話、最近は昔のドラ映画ばかり観ていたから、昔に比べると柔らかく、より子供向けらしくなっている印象がある。かといって子供騙しではなく、しっかり泣かせに来られた。正直、SFではなくファンタジー寄りな気もするが、F先生のSFは“すこしふしぎ”なお話だとご本人が語っているのでこれで良い。それとしずかちゃんが昔と比べてえらく可愛くなっている、これは狂わされる子供も出てきそう…

演奏の最小単位は個人となるのかもしれないが、音楽の最小単位はアンサンブルなんじゃないかと思った。音を楽しむという原意には、独りじゃ到底到達できない。それは得手不得手でも語れるものではない、音楽は心の底から本能が求めるもので、他者と共有して初めて元来の意味となる。

元チューバ奏者として、ジャイアンの演奏を聴いていて笑ってしまった。余りにも上手すぎる、ゲロうま。スタッフロールでは見逃してしまったが、とんでもない人物が演奏しているんじゃないか。楽器の演奏が巧みなことは聴いていて分かるが、それとは反対に下手くそな演奏を撮る方が難しいのではと思う。のび太の“の”の音はスライドホイッスル(多分)だろう、色々工夫して下手くそな演奏を演出していて面白かった。

曲中にふと挟まれた、ドラえもんでお馴染みのあの曲を聴いて涙が出そうになった、あの演出は正直ズルい、大人が1番ウルっと来ると思う。

諦めないのび太をみて、楽器練習しなきゃなーと感じた、観て良かった。

2024,55本目(劇場14本目)3/9 TOHOシネマズなんば・本館
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