Asino

Fair Play/フェアプレーのAsinoのレビュー・感想・評価

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)
4.2
女性のほうが昇進しちゃって崩れていくカップルの関係性と、男社会の中で無理して苦しむ女性の姿と、ヘッジファンドの胃がキリキリしそうな現実と、業績しか考えてないくそ上司と。

金融の世界は知らないけど、女性がキャリアを積もうとしていくときにありがちな胸糞話がてんこ盛り(すぐ枕で昇進したとか言われるとか、男社会のノリに合わせざるを得なくなるとかね)で、男のほうがプライドが高くて自分の負けを絶対に認められなくて(あげく暴力は振るう)、どんどん泥沼化していく様子が余りにもスリリングに(でもすごくありそうな、とてもいやな感じで)撮られているので、正直途中でちょっとしんどくて見ていられない感じになった。
つまりそれはよくできているということ。

ラストはあれは万事解決、ではなく、結局彼女はひどく傷つけられてそれをずっと引きずることになるのだと思う。男のほうはさっさと忘れるだろうけど。

彼女は何も悪くないのにずっと男のプライドを傷つけないように気を使うはめになっていたし、きっと家族の期待の星だったから親が喜んでるのをむげにもできず、どんどん自分を追い込んでしまっていてつらかった。
でも一定数の男性はこれを見てきっと、「でも彼女も悪い」というんだろう。それも生々しく想像できて気分が悪くなる。
そういう意味でとてもよくできていた。

オールデン・エアエンライクはあんまり好きじゃなかったんだけど「コペンハーゲン」はよかったし、この映画みたいな役がすごくはまるってことがわかった。好きではないけど褒めています。

エディ・マーサンはどうにでも化けるのですごいね。本当に怖かった。いやだあの上司…。
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