他人という得体の知れない何かについて、45分。
ある作家がこの世には愛が溢れていて
だからこそ繋がりあえる他人は
素晴らしいと説いたとしても
黒沢清はこの世には不安、恐怖が溢れていて
だからこそ他人はよくわからず恐ろしいと
いくつになっても説き続ける。
そしてそれは1番近しい他人である家族、
家庭という場でさえも例外ではないのである。
他人という存在は不安を和らげるのではなく
徹底して不安を媒介させて人々に広めていく
存在として描かれる。
若手の三宅唱監督が他人であんなに優しい作品を
作り上げた一方で
他人でここまで恐ろしい作品を作るのは流石。
イッちゃってるのに
突然まともなことを言ったり
まともな反応をしたりするのが
狂ってるのか狂ってないのかわからず
トビーフーバーみがあり怖いが、
とっくにいつの間にか狂い出している
世界が1番恐ろしい。
チャイムはその世界からの呼びかけであろう。
のっぺりしたデジタルの画も良くて
フィルムとはまた違った
不安感を画面に定着させているように思う。
黒沢清作品はいつも不味そうなご飯食べてるのも
好きだけど、今回は主人公が料理教室の講師で、
どんな物が出てくるんだろうと思っていたら
ソーメン食べていて案の定不味そうで笑った。