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ボブ・マーリー:ONE LOVEのMrNOのレビュー・感想・評価

ボブ・マーリー:ONE LOVE(2024年製作の映画)
4.0
ジャパンプレミアムイベントで二回目を見ましたので加筆しました。

レッドカーペットと上映前のシアターにボブマーリーの息子でこの映画をプロデュースしているジギーマーリー、マルクス・グリーン監督とボブの役を演じたベン=アディルが登壇。

アディルはイギリス人で普段は綺麗な英語を話すんですが、ボブ風にパトワ語〜アフリカの言語と英語のミックス〜をマスターするのに苦労したそうです。ボブは歌の時はちゃんと英語で歌ってますが、会話はパトワで。多分ラスタの誇りだと思います。この日のジギーもきつい訛りのパトワでインタビューに答えてました。

映画史過去最高級にマリファナ喫煙場面が出てくる映画ですが、息子のジギーも大麻解放運動を行っていて、マリファナマンというヒーローもののコミックをリリースしています。こんなことインタビューじゃ言ってませんでしたけど。

ボブは日本には一回しか来てませんけど、マリファナでポールマッカートニーが逮捕された国になんか行きたくない、気持ちもあったのかも。

ずっっとガンジャ(マリファナ)吸って、ジャーラスタファーライ、と言って、草サッカーやって、浮気して、たまに演奏してる、そんな映画です。

基本、音はボブたちの演奏に口パクですが、エンドクレジット見ると日常の練習風景などはジギーの弟のスティーブン・マーリーの歌声のようです

イベントは各国の大使が招待されていてインターナショナルな雰囲気。
レゲエはジャマイカにとってはイギリスのロック、韓国のKPOP同様に貴重な輸出品ですものね。外資獲得のビジネス外交の一環でもあります。
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試写会で見ました。
あらすじは各自調べて下さい。

ボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズ。
ただ一度の日本公演を見てるのが自慢です。
1979年4月6日金曜日の新宿厚生年金、戻れるならこの時に戻りたい。
この映画のラスト、政敵二人をステージで握手させた、ワンラブコンサートの1年後でした。

「ワン・ラブ」はボブの中ではメロディアスでラスタ色も薄くメッセージがわかりやすい曲です。
ジョン・レノンの「イマジン」、ボブ・ディランの「風に吹かれて」と並んで有名なプロテストソングなのでミーハーな映画かとナメてましたが、意外とディープな内容でした。さすが息子のジギーマーリーが監修してるだけあります。

ボブのセリフや人間関係の端々に現れるジャマイカの宗教というか思想と言うか、「ラスタファリズム」を薄くでも知ってないと楽しめないかも知れません。
ドレッドヘアやラスタカラーの意味、ジャー、アイアンドアイ、ハイレセラシェ皇帝、マーカス・ガーヴェイとは、シオニズム、アフリカ回帰。ググってでも知っておくと分かりやすいです。

流れる曲はベスト盤的な有名曲ばかりですが、スタジオ練習風景や、コーラストリオのウェイリングウェィラーズ時代にコクソンドットのスタジオワンに売り込む場面。
ラスタの演奏するナイアビンギの演奏場面など見どころ多数。

特にイギリスに行ってクラッシュ(ホワイトライオット!)のライブを見る場面は短いけど刺激的。前後してイギリスのレゲエミュージシャンだけどドレッド(ラスタ)ではない、ジュニア・マービン(息子さんが演じてます)と初めて出会います。マービンはクラッシュがカバーした「police and thieves」ポリスとコソ泥、の作者です。クラッシュとの出会いの後にボブは「パンキーレゲエパーティ」という曲をリリース、曲の中にはJAMやDAMNED、Dr.FEELGOODと並んでCLASHの名前もでてきます。

中盤、イギリスでのエクソダスのレコーディング風景がかなりの尺で出てきます。このアルバムからイギリスのスタジオで録音。ギターに前述のジュニアマービンが加わり、ラスタのメッセージはそのままに洗練された?ロックっぽい音になりました。プロデュースは映画にもでて来る白人のクリスブラックウェル。レゲエという第三世界の音楽が世界的に成功したのはクリスが作ったこのアイランドレコードの流通にもあると思います

ボブの父親は白人のイギリス人だとは映画でも語られてますが、ボブ誕生時はなんと61歳!軍隊出身の経営者のようです。お母さんは16歳!
マーリー姓を見るとちゃんと結婚はしていたようですが、生まれると父は離れていってしまいます。望まれて生まれたのではなさそうです。

軍服を着て馬に乗った男が、ボブの頭の中のイメージにでてきます。初めは父親だと思ってましたが、顔が出てくると彼はエチオピアのハイレ・セラシェ皇帝でした。
叶わぬ父への想いが、ラスタに向かわせた、というような描き方です。

皇帝は1975年に亡くなっています。
その2年後にこの映画でも描かれている「エクソダス」をリリース。その関係は明らかです。
ボブに指輪をくれたのは息子の皇太子でしたね。

奥さんのリタとの愛が描かれてますが、ボブもボブで女好きが過ぎて、リタ含め8人の女性に12人の子供を作ってます。ワンラブどころではありません。
リタの、正妻の息子のジギーが監修してますからその辺はぼやかしているようです。
映画でジャマイカに帰国した後、家に戻るといつのまにか子供増えていた気がします。

ジャマイカに帰還したボブが政界で敵対する二人をステージで握手させたワンラブコンサートが、ボヘミアンラプソディのウェンブリーアリーナのようにクライマックスになるかと思ったけど、なんかあっさり終わりましたね。
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