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ボブ・マーリー:ONE LOVEのリンコロシネマのレビュー・感想・評価

ボブ・マーリー:ONE LOVE(2024年製作の映画)
4.8
【音楽で革命を起こした男】(臨場感体感上映にて鑑賞)

個人的なレゲエ史になってしまうが初めてボブ・マーリーを聴いたのは中学生の時…とはいえボブ本人のものではなくエリック・クラプトンがカバーした「I SHOT THE SHERIFF」だった。この曲でレゲエ・ミュージックというジャンルを認識したがハマるまでには至らなかった。歌詞が分からなかったから“南国のユルいリゾート・ミュージック?”くらいの認識だったと思う。

次にレゲエにであったのもボブではなくストーンズのアルバム『BLACK&BLUE』に収められていた「Cherry Oh Baby」だったがこれはボブの曲ではなくエリック・ドナルドソンのカバー。やはりユルい曲だった。

そしてクラッシュの数々のレゲエ(スカ)ナンバーに心撃たれる。10代後半の話。スペシャルズとマッドネス、いわゆるスカ・バンドを聴いた。この頃、なんとなくボブ・マーリー(当時はボブ・マーレイと言ってたな)も聴くようになる。

決定的だったのは曲ではなく『星とレゲエの島』という山川健一さんの小説だった。レゲエを題材に取り入れた異色の小説ではあるがエンターテイメント小説家の大傑作だと思うのでレゲエ知らなくても機会があれば是非とも読んでみてください。

そしてようやく20代になって本格的にレゲエを聴くようになる。ボブはもちろんサード・ワールドの『SENSE OF PURPOSE』(ポップスかと思うほどカラッとしていて湿度低め)やブラック・ウフルーの『Reggae Greats』(こちらはゲットーの裏の顔のようだった。湿度高め)など聴きまくった。

ボブに関して1番最初に買ったレコードは『Exodus』。映画でも重要な位置付けとなっているアルバムであるし今も聞き続けているレコード。タイム誌が「20世紀最高の音楽アルバム」に選出したアルバムであり私にとってもフェイヴァリット・アルバムなのだが“制作過程でこんなことがあったのか⁉︎”と初めて知った。

ようやく映画の話になった笑笑。

ボブといえば激しく対立していた(何人もの人が凶弾に倒れた)保守系政党と社会主義系政党の、2大政党の党首をステージに招き握手させたことがジャマイカの歴史に名を刻んだ。正に血を流さず音楽で革命を起こしたのだがこの映画は敢えてそこに深く触れず奥さんでありリタ・マーリーとのLOVEや確執に触れたりボブの知らなかった事実を教えてくれる。個人への「ONE LOVE」が如何に世界の「ONE LOVE」なったかを窺い知る。

《あらすじ》
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ボブ・マーリーはジャマイカで白人と黒人の間に生まれた。不安定な国内情勢と、政治家の思惑に翻弄されながらも、欧米が中心だった音楽界に第三世界出身アーティストとして名を馳せる。世界的な成功を収め国民的英雄になったボブだったがW不倫など妻リタとのギクシャクした関係や信頼していたマネージャー、ドンの裏切りなどの苦労を抱えていた。

そんなジャマイカが生んだ伝説のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの波乱万丈な人生を映画化した音楽伝記ドラマ。

1976年、カリブ海の小国ジャマイカは独立後の混乱から政情が安定せず、2大政党が対立していた。30歳にして国民的アーティストとなったボブ・マーリーは、その人気を利用しようとする政治闘争に巻き込まれ、同年12月3日に暗殺未遂事件に遭う。2日後、マーリーは怪我をおして「スマイル・ジャマイカ・コンサート」に出演した後、身の安全のためロンドンへ逃れる。名盤「エクソダス」の発表やヨーロッパツアーを経て、世界的スターの階段を駆け上がっていくマーリーだったが、その一方で母国ジャマイカの政情はさらに不安定となり、内戦の危機が迫っていた。
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ボブ役のキングズリー・ベン=アディルがまるでボブ・マーリーが乗り移ったかのような表情や体型だったのが驚きと共に映画に入り込める重要な要素となっている。

なにはともあれボブの名曲がガンガン流れるので音響の良い劇場で観るのが吉かと思われます。Islandレーベル時代の曲が大半なのはボブの楽曲の認知度を考慮すると当たり前のこと。

ラスタファリズムは日本人の俺には中々理解し難いのだがボブの歌がイコール“俺にとってのラスタの教え”なのだ。

家に戻り爆音でボブのレコードを聴いている。