白音

包帯クラブの白音のレビュー・感想・評価

包帯クラブ(2007年製作の映画)
5.0
何年も前。たまたま深夜の映画放送でたまたま録画をした。
あの時のたまたまが、こんなに刺さり続け、大好きで大切な作品になるなんて、思ってもいなかった。

何かに傷付き、今はその場所にはその人達はいないのに、傷付き続け何度も何度も傷付いた日の事、場所を思い出してしまう人に、是非見て欲しい。

心地良いモノローグ、メロディ、世界観、テンポの良い面白さ。
何十回見返した事か……1つ1つのシーンが頭にすぐ浮かぶ。脳内でメロディが鳴る。あの日たまたま録った映画を、何年間も何十回と見る事になるなんて…

1人1人何かしらの傷を抱え、今を必死に生きる人達。
昔の事を振り返る時に、画質が若干荒くうつる演出が昔感が出てとても良かった。
何か意味があるシーンは突然音が消えるのも良かった。
何も思わず無で見ても、内容が深く考えさせられる。けれど、ふふふっと笑える所も沢山あり、自然と笑ってしまう。
1人1人エピソードがあったが、私が1番泣いたのはギモの話。
自分と重なる依頼が来て、他人として話し、聞いた周りは不思議な位丸く収まり写真に撮られた夜闇に浮かぶ赤い炎。
映画を見て泣いたのはこの時が初めてだった…

次に印象的だったのはディノ。
過去の自分が許せなくて、人の痛みを知る為と言いつつ自傷行為に似た行動ばかりして、見ていてとても苦しかった……
あの日の事を何度も何度も繰り返し思い出して責め続け、友達思いのディノだからこそ、本当にその人の痛みを知りたくて行動にうつし、どこかしらでワンチャンこのまましねたらって思ってたんだろな……
ワラに出会えて本当に良かった。
柳楽さんの目が映るシーン。何と言葉に現して良いか言葉が浮かべられない……あの目だけで表現しているシーン、印象的だった。

私はこの映画をずっと、この先もずっと見続けるだろう。
最初から最後まで文句無しの最高な作品。
この作品にあの日、たまたま出会えて本当に良かった。
前を向いて生きよう、生き続けようって思えた。素敵な作品を作ってくれた関わった全ての方に感謝したい。ありがとうございます。
白音

白音