Blake1757

あ、春のBlake1757のレビュー・感想・評価

あ、春(1998年製作の映画)
3.5
相米慎二の映画を観る度に思うのだが、自分は相米の映画を“生理的”に好んでいるのだと気付かされる。映画を観るということは、(いわゆる筋を追うこととは別に)ショットのサイズや時間感覚、テンポ、そうした「映画そのもの」に身を浸している感覚があるわけだが、その感覚が「肌に合う」とでも言えばよいのか。長回しやロングショットを特徴とする映画監督は相米以外にもいるが、やはり相米のフィルムがいちばん肌があう気がする。
「物語」に関しては僕は「家族もの」はさほど好みではないのだが、にもかかわらず、(それを越えて)充分に映画を楽しめた。
あとはやはり、山崎努と斉藤由貴。この二人でなけれはこの映画は成り立たなかった(あるいは全く別の作品になっていた)だろうという程、存在に力があった。特に斉藤由貴の「小走り」の姿。ちょっと歪な不協和音のような、どこか異物のような(蓮實重彦言うところの)生々しさは、ある意味でラストシーンへの斎藤の“反転”への布石にもなっていたように思う。
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