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きのうの夜は…のtjZeroのレビュー・感想・評価

きのうの夜は…(1986年製作の映画)
3.3
出逢ったその日に一夜を共にするダニー(ロブ・ロウ)とデビー(デミ・ムーア)。
軽いお遊びで始まったはずが、真剣に愛し合うようになり、同棲生活がスタートするのだが…。

シカゴ版の『恋人たちの予感』みたいな趣き。
N.Y.のあの秀作ほどの完成度は無く、ギクシャクとした所もあるんだけど、なんか嫌いになれない、チャーミングな作品ではある。

イイのは、『セント・エルモス・ファイヤー』でも共演していた、主演のふたりの相性の良さ。
ロウが穏やかな雰囲気で、ムーアが勝ち気な感じなので、両者のチカラ関係が互角で、愛し合おうがケンカしようがしっかりとした絆で結ばれているように見える。
いやむしろ、対立するシーンでこそ仲の良さを感じるというか、ブラピ&アンジー以上にスクリーン映えするカップルだと思う。

そんな相性のいいふたりにもかかわらず、他人同士が一緒に暮らすって一筋縄ではいかない、自由と束縛のバランスが綱渡り…っていう微妙な空気感がよく表現されていた。

他のレビュアーさんの感想にも、「生々しい」とか「リアル」とか「等身大」といった表現が散見されたけど、観る側の個人的な側面を刺激するようなパーソナルな作品だと思う。

自分的に最も刺さったのは、同棲を解消したムーアが出て行ってしまい、ロウが呆然としているシーン。
自分もかつて、同居人が出て行く朝に引っ越し業者が予定より早く来てしまい、「作業のジャマになる」みたいな雰囲気で早めに出勤させられ、帰宅したら(わかっていたとはいえ)ガラ~ンとした室内にしんみりした…という経験があるので。

本作を観て、思わぬところからそんな記憶がよみがえってしまい、こうやって書く事で再びカサブタにフタをしようとしております(笑)。
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