皿田きのこ

アントニオ猪木をさがしての皿田きのこのレビュー・感想・評価

アントニオ猪木をさがして(2023年製作の映画)
1.8
アントニオ猪木という底なし沼に棲む怪物をドキュメンタリーで撮るなら、プロレスに造詣が深い森達也にお願いできなかったものか…

最初のシーンはサンパウロのメルカド!!これは期待できるとテンション爆上がりでした。そしてコーヒー農園で共に汗を流した片山さんが話してくれた貴重なエピソード…
プロレスを「ルタ・リブレ」と発音されていてポルトガル語とスペイン語の類似性を再認識しました。

サンパウロで猪木は力道山と出会った訳ですが、この超超重要なターニングポイントをあっさりナレーションで流しただけだったのが残念。せっかくブラジルまでロケしたんだからここは深掘りしてほしかった。

原悦生さんのお写真をスクリーンで見させていただけたのはこの映画最大の山場だと思います。
特にキューバでのエピソード!フィデル・カストロ議長と酒を酌み交わし、ベロベロに酔った猪木とフィデル。お腹いっぱいです。
でもせっかく原さんが至極のエピソードを披露してくれたのに対談相手の俳優は相槌をつくだけ…これじゃ話が膨らまない。
古舘伊知郎だったらもっと話を引き出して原さんとプロレスを見せてくれただろうに残念です。

今はプロレスを見ていないので(棚橋選手が女性に刺されたあたりまでしか知りません)新日本プロレスという会社が今どうなのか知りません。しかし「50周年記念」の冠を付けた映画なのに、この構成と内容でOKを出したのは残念でなりません。

新間さん、古舘さんを始めリアルに猪木と接してきた方のお話をまとめてもう一度撮り直してほしいと思います。規格外のスキャンダルも盛り込んで。
森達也監督にお願いしたい。
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