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アントニオ猪木をさがしてのレオンのレビュー・感想・評価

アントニオ猪木をさがして(2023年製作の映画)
3.4
著名人ドキュメンタリー (★平均3.3 アマプラ見放題) なんでこんな中途半端な構成にしたのか・・。
ドキュメンタリーなのに、数分の寸劇ドラマが4カ所も挿入され、頂点を極めた者の "熱いドキュメンタリー作品" とは言えない出来に・・。(インタビュー中心で試合映像はわずか)

アントニオ猪木さんは、凡人では体験出来ない大きな事柄を4つも経験している。 
1 裕福な家庭に生まれるも、5歳で父を亡くし、13歳で貧困の為ブラジル移住で、過酷な労働生活を送る。
2 力道山に見初められ、プロレスラーになり、UNヘビー級王座を獲得、日本プロレス界の頂点に立ち、対モハメッド・アリ戦等、異種格闘技の草分けともなる。
3 「アントン・ハイセル」という、サトウキビのバイオ燃料会社を設立するも失敗、後に何十億も借金を背負う。
4 1989年「スポーツ平和党」を立党し、自ら参議院全国区にて100万票をも獲得し、史上初のレスラー出身国会議員となる。

と、これらを時系列映像と共に関係者のインタビューを挿入すれば3時間作品でも足りないくらいの情報量があるはず。

ところが、今作は当時の猪木ファンの日常応援物語の様なフィクション寸劇ドラマが度々挿入され、さらに神田伯山の講談まで・・。 知りたい重要事項は大幅縮小され、伝記物としては中途半端な作品に収まっている。 (タイトルのように、日常で猪木さんを探す、という物語であるなら、それに相当するが、視聴者はそんな作品を望んでいない。)

が、貴重エピソードもいくつか挿入されていて、見応えあるシーンも多々存在する。
●新日本プロレス旗揚げ当時、妻の倍賞美津子さん宣伝カーに同乗し、うぐいす嬢となり町中に声を届ける♪
●その当時練習リングそばにあった、等身大パネルを外した者の理由とは・・。
●国際親善の為、キューバのカストロ議長と面談・食事し、2時間後には両者赤ら顔で肩を組んで歩いて、とんでもない"人間力"を示す。
●所属レスラーは先輩や社のお偉いさんには、「お疲れ様です。」だが、猪木さんと坂口副社長にだけは、「お疲れ様で、御座います!」とさらなる敬語で挨拶していた♪
等々、笑える貴重エピソードも。

不要に感じるドラマシーン・講談シーンをカットして、プロレス興行として、史上最高の7万人観客動員を誇った引退試合をラスト近くのピークとして演出すれば、★4以上の感動大作にもなり得たと感じ、非常に惜しく思う。

猪木さんを本当に愛してやまない者が制作すれば、もっと違う形になったのでは・・。
まあ、猪木さんを知らない世代の方には、そこそこの情報をもたらしてくれるかと。
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