終戦…女は半分焼け残った居酒屋で体を売る…
ぼうやは、ただ一人、生きる為に盗みを働く…
吸い込まれるように居酒屋に居座る復員兵…
それは疑似家族であっても一時の団欒がそこにはあった…
塚本晋也監督作を劇場鑑賞するのは、随分久しぶりです…"バレット・バレエ"以来か?
主要キャストの"眼の輝き"が印象深い…特に趣里のぬらぬらと鈍く光るその眼力の凄まじさは、朝ドラの底抜けに明るい演技とは真逆で陰のオーラが凄すぎます…良い役者ですね。
戦争によって人生が狂い、闇に堕ちていく市井の人々…胸糞悪い地獄の世界が広がっているにも関わらず、何故か鑑賞後に後味の悪さは残らない…これまでの塚本作品とはまた違った感覚を覚えました。
塚本監督作は、映画というよりも演劇のように役者の演技が大げさで、そこが魅力なんだけど、見づらいし疲れる…ところが本作ではそんな印象は余り持たせず、映画として非常に面白い…ストーリーとそのテーマは重いですが…
本日は、公開初日ということもあり、舞台挨拶付き…塚尾桜雅くんの初々しい挨拶に、ニコニコしてしまいましたが、彼の存在感は本作の肝だったと改めて思った次第です。