白波

ほかげの白波のレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
4.8
劇場鑑賞
「野火」が戦争の狂気を描いていましたが、「ほかげ」は戦争による傷跡を描いた作品。
夫と子どもを亡くした者、孤児になってしまった者、身体が不具になった者、そして何よりも深い心の傷でしょう。
今回もスクリーンの色味が素晴らしく、そのしっとりとした質感がよいですね。
音楽もすごい合っていて、すごいの見つけてきたなと思っていたら、まさかの石川忠。エンドロールで名前を見た時は目を疑いました。
後に知ったのですが、気がついたら石川忠の音で作り始めていたんだそうです。
6年前に亡くなっているのですから、制作途中だった「斬、」とは話が違います。これを作り上げるのはとんでも無い事ですよね。
主演の趣里は塚本作品にすごいフィットしていて、太い芝居がとても良かったです。
またその先に位置する坊やもとても輝いていおり、その瞳がすごい印象的。
それと何度も投げ飛ばされても器を洗いに向かう、絶対に約束を破らない決意には心を打たれました。
そうしてその覚悟を認められた時には、何故だろう?涙がでていました。
戦争を生き延びた人々が抱える闇と傷、そしてそこから立ち上がる光。
やはりズシリと残る作品でした。
白波

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