ねむろう

ほかげのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

ほかげ(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_247


傷は、まだ疼く――


【簡単なあらすじ】
女は、半焼けになった小さな居酒屋で 1 人暮らしている。
体を売ることを斡旋され、戦争の絶望から抗うこともできずにその日を過ごしていた。
空襲で家族をなくした子供がいる。
闇市で食べ物を盗んで暮らしていたが、ある日盗みに入った居酒屋の女を目にしてそこに入り浸るようになり・・・。



【ここがいいね!】
第二次世界大戦直後の混乱の中のある街角をメインの舞台にしながら、戦争って何だとか、ドンパチやっているだけが戦争じゃなかったんだということを強く訴えかける作品でした。
そんな中で、「生き残ってしまった」人々の落とし前の付け方を、極限までそぎ落としたセリフの中で、しかも子どもの目線から描いた作品になっていました。
自分の子どもや旦那を亡くした居酒屋の女だったり、PTSDを患った元兵士だったり、軍の上官への不満を抱き続けた男だったりと、様々な戦争の傷跡を淡々と描きながら、それを見つめる子どもへ「強く生きろ」という祈りにも似たメッセージが伝わってきました。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
ところどころ、説明のされない内容もありました。
憔悴しきった人々や世界を描いていますので、そんなに多く語ることもないわけですが、もう少し時間を置いて調べ直す必要があると感じました。



【ざっくり感想】
塚本晋也監督作品ということで『野火』(2015)が、かなり近い戦争ものの映画ではあますが、あの一部エクストリームな作品とは打って変わって、静かながらも傷跡だけは残っているという表現が、非常によく効いていた作品だと思います。
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