げんげん

ほかげのげんげんのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
4.6
塚本晋也監督の戦争映画。リアルと評判高く、何気なくみた『野火』が想像以上に良かったのでこの作品も気になっていた。見て良かった。

『野火』が戦時中を描いてるのに対して今作は戦後の物語。タイトル『ほかげ』とは『火影(灯した火の光やそこから生まれる影)』の意。戦後の混沌とした世界を良く表したタイトルだと思う。

身体を売って生活する女、盗みで生活する戦争孤児、心を病んだ元兵士など、戦争によって生み出された闇を残酷に描く。野火もそうだが監督は戦争体験者ではないのに、非常に戦争をリアルに描くと思う。

コロナでなかなか撮影にGOが貰えずクラウドファンディングまで検討(実際はしてない)した中でよくぞこの作品を世に出してくれたと思う。主演の趣里や森山未來は当たり前に上手いけど子役と元兵士もオーディションで選ばれているので彼らに匹敵する演技をする。やっぱり演技上手い役者の映画は引き込まれる。

戦後の絶望と微かな希望をうまく表した素晴らしい作品と思う。思わずパンフレットを買ってしまった。

2024年5本目
げんげん

げんげん