たけうち

ほかげのたけうちのネタバレレビュー・内容・結末

ほかげ(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

『野火』『斬、』に続き戦争を描くが、主に『野火』と地続きになっていて、その復員兵の物語と捉えると理解しやすい。

戦争が終わったとしても、個々人の戦争が終わったとは限らない。
その爪痕というか、植え付けられたトラウマが鮮烈に描かれていた。

ついこの間まで銃を撃ち合っていた時代に、銃一本を許さない趣里の態度は反戦へのメッセージだと感じた。
それ故にラストはあまりにも。

が、『斬、』からの小規模感は拭えず、前半の居酒屋での展開はまだしも、後半のロードムービーパートは物足りなさがあった。闇市が舞台であるにも関わらず、ラストシーンまで引っ張ったのもうーん。

また、趣里の生活の営みのシーンがあまりにもなく、昼働きます宣言からその描写がないため、現実感がない。
その辺りの描写は過去作でも省かれていた傾向にあるが、本作は戦後(闇市)の生活に視点が向けられているので、省略が目立っていた。
身売りも、描かれたのは1人のみだし。

とはいえ、フィルモグラフィーを追いつつ、完全にファンなので次回作以降も期待したい。次は出演も。


舞台挨拶にて、撮影の裏側、戦争に対する姿勢と作品への反映等々、貴重な話が聞けて良かった。
石川忠音楽がおそらくラストになるそうで、少し残念。
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