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ほかげのhokaのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
3.0
申し訳ないが、塚本晋也監督本人と田口トモロヲさんを長い間混同していた。
鉄男のパンクな作風とバチカブリのイメージが、まさにバチ被り。

ミニシアター映画の監督は商業映画監督に比べ、バジェットが小さい分、避けるべきリスクも少ない。

つまり監督自身の裁量の幅が大きいから、好きなことが出来る。

関係各所に配慮しなくて済む分、刺激的な作品も生まれる事があるが、迸る監督のリビドーの方向性を見失うと、あっという間に置いていかれる。

家族を失って女衒に囲われる女性、戦地の上官の命令で、捕虜や親友を殺した男、大きな音に怯える復員兵、夜な夜な夢にうなされる子供。

『これは良いものですか?本当は高いものですか?』

本当はいい人達で志が高かった人達には、戦後を迎えても失われたものは戻らない。

子供の目は印象的だが、彼の口数の少なさが彼の内的心情を上手く読み取らせない。

拳銃も形而上学的に扱われるが、あれは怒りや恨みの暗喩なのか?

彼が闇市の皿洗いで手に入れた一杯のうどんは、美味そうだった。
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