冥婚でゲイの男性の婿になってしまったノンケの警察官が幽霊の力を借りながら事件を解決するコメディです。
まず、テンポがいい。とんとん拍子に話が進むので飽きることがないんですが、台湾では同性婚が法的に認められているためか同性愛者も割とオープンで、ゲイだノンケだと堂々と口にしてお互い悪口を言い合うあたりフラットで面白いです。
ある意味、社会が存在を受け入れているからこそできる口論でもあるかなと。
主人公のミンハンは悪い意味での「男らしさ」を持つ警察官で出世欲も高く傲慢。そんな彼が何気なく拾った赤い封筒が冥婚を示すものだった、というストーリーなんですが事件パートはそこまで緻密という訳でもなく終始コメディチックで笑えます。
後半は冥婚という形とはいえ、ノンケのミンハンとゲイのマオマオで必ずしも恋愛感情を持たずとも家族になれるという着地点を見せており、邦題の通り「家族になった件」が的を射てます。友情以上の信頼と恋愛未満の絆、的確に表現する言葉なくともミンハンとマオマオの間に確かに存在する家族としての愛が最後はすごく泣けました。最後まで面白かったです。
結婚したい人、そうでない人がいて何に人生の価値を見出すかは性指向に関わらず、一人一人違うのが当たり前という描き方がすごく好きです。差別とか迫害とかはとおに過ぎた話で、結婚が認められた今は個人の望みの話をしているという点で恋愛とも友情とも違うけど家族というところに結論もってくるのうまいです。
血のつながりがなくても、という点も含まれていてお互いのセクシャリティも否定はしないけど、受け入れられないとその人の性指向を尊重した上での線引きもきっちりしてるのがいいですね。他者に対するリスペクトがあります。
冥婚を執り行う道士？（多分道士だと思うんですけど）が新婦を言い直して「ネコの新郎」「タチの新郎」と紹介するシーンでは爆笑しました🤣🤣なんつー紹介の仕方だ（笑）
