アキヒロ

僕と幽霊が家族になった件のアキヒロのレビュー・感想・評価

僕と幽霊が家族になった件(2023年製作の映画)
3.4
2019年からアジア初・同性婚が可能となった台湾で、
赤い紙を拾うと「冥婚」させられるという台湾の奇習になぞらえ、ノンケの男とゲイが結婚させられるというコメディに描くというアイデアがいい。
笑えて、楽しい作品だったと思う。
画づくりが綺麗でセンスを感じるし(台湾人の俳優たちはみんな綺麗)
冒頭20分くらいのテンポが良かった。

一方、このコメディ的な内容で2時間9分という長尺は長すぎた印象。
幽霊になった毛毛が「自分を轢き殺した犯人を突き止める」というメインストーリーに収斂させた方がシンプルに仕上がったと思う。
さすがに、動物愛護やサステイナブルを掲げて海でゴミ拾い…という描写はテーマをいたずらに散漫にさせたように感じた。

後、子晴がネズミ(裏切り者)だったわけだが、
このへんの脚本は「男性優位社会で出世を憎まれている女の逆襲」とも取れる内容で、そのへんをストーリーに織り込んだ可能性もあるだろうけど、
平然と味方を裏切った子晴が「何のおとがめもなく逃げおおせる」というのはモヤッと。

「冥婚」を肯定的にとらえるような文脈も、まぁそこはそれぞれの国の文化だしな…(アジアでは習慣を知らない外国人が、この赤い紙を拾ってしまわないか心配という声もあるものの)とややモヤッとしそうなところではあるので…。
ややこの映画の根底に流れる思想には、賛同しかねる部分もあった。

ただ、台湾は思想的にも国の体制的にもアジアで(ひょっとすると世界でも)もっとも進んでいる、と言ってもいいくらいなので、
僕の感覚の方が、おそらく "古風で遅れて"いて、この感覚が新しい潮流だという可能性は感じた。
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