仕事終わりに観られる回を探し、
これでいいか〜と何の気なしに予約した回、終わり時間がモロ日付変わってることに後から気づいて頭抱えたわ。
劇場の照明がつくと同時に駅まで全力疾走しました。
自宅のベッドに倒れ込むようにしてスマホでFilmarksをひらき「ナポレオン」を表示したページに書かれたコピー。
「英雄か、悪魔か。」
なるほど、この作品を現すにはこれ以上ない表現かもしれない。
男性優位の社会でありながら、結局のところマザーコンプレックス的な女性に対し縋るしかない男の傲慢さと情けなさと完膚なきまでに描き切った「男の弱い部分チクチク映画」でしたね。
主人公に感情移入しながら観るタイプの人間なら誰しもが罪悪と嫌悪感を抱かずにはいられない離縁のシーン。
そしてその後の手紙でのやり取り。
今、Twitterの画像リプで流行りの呪術廻戦のセリフを思い出しましたよ。
「人の心無いんか?」ってやつ。
「首」評でも記述しましたが、当方周りにドン引きされるくらい歴史の教養がなく、
ナポレオンがフランスの皇帝ってことくらいは知ってるけど、どんな功績を残したのかってことは一切知らずの鑑賞。
まぁ、歴史的何たるかは知らずとも、
とにかくリッチで、とにかくエグくて、そして何よりリドリー・スコット節全開の陰影、そして淡々と進むストーリー。
ラストの戦争は、あれは教科書的にはどういうふうに書かれてるんでしょうね?
歴史的ストーリーモノなのでネタバレもクソもないとは思いますが、まぁ大敗の模様に関してそこまで感情的にもならず、消化試合的な半ばヤケクソ気味に描かれていたのは、やっぱり彼の精神的拠り所であったジョゼフィーヌが没したからなのかなぁ…。
そして、あの2人は愛し合ってたのかなぁ。
最後まで本当のところはわからず、悲しくて辛い関係値だったな…。
正直、前述の苦手教科・社会科の影響もあり、ストーリー的にそこまでのめり込むことは出来なかったのですが、
もう「これぞ映画だ」としか言いようの無い、スクリーンに映じられる映像の贅沢さには舌を巻きました。
ええんよ、ストーリーがどうのこうのとか。
ええんよ、キャラの心情がわからないとか。
ええんよ、世界史が苦手でどうしようとか。
こういう「映画的」としか言いようがない体験をするためにこそ、僕はあの暗闇の中で白い平面に光を映じたものに何十、何百という観客の視線が集まる異様な空間を訪れるんです。
リドっさん、ええもん見せてもらいましたわぁ。
…でも流石に歴史的な基礎はわかった状態で見に行ったほうが確実に楽しめると思います。
俺だけか!?知らなかったの!(ティーダ)
全然関係ないけど、劇中2回あるホアキン・フェニックスとヴァネッサ・カービーによる立ちバックのシーン。
腰振り激しすぎてちょっと笑っちゃった。