ナポレオンとジョゼフィーヌ以外の人が全然重要じゃなく描かれていて、戦争シーンもどんどん退屈になっていく。ナポレオンの権力がなくなるほど映画はつまらなくなっていく。ジョゼフィーヌとの関係性も凡庸な共依存にしかみえなかった。だからよくわかなかった。でもナポレオンの老いが描かれていると見た後しばらく時間を経ったあとに思えて、3時間の労はねぎらわれた。
銃で撃たれて、帽子に穴が空いて騎馬を動かすナポレオンは、ヘーゲルに世界史の顕現を思わされた絵とは、全く異なる世界を写そうとしている。それは憐れな老将の姿ではなく、王が個人に堕ちていく姿でもなく。世界が全体性を失おうとする歴史のはじまりの姿なのかもしれない。
