良かったとこ 戦場シーンの手際の良さ
序盤のトゥーロン包囲戦では、馬に砲弾が直撃するというなかなか見かけないショットで観客を驚かせ、そこから砦を攻略して船を攻撃するまでが流れるように描かれる手際が良かった。中盤のアウステルリッツの戦いでは、戦場の規模は大きいのに戦況が分かりやすく描かれているのがさすがの手際の良さ。ナポレオンの狙い通りに総崩れしていくのが爽快だし、この映画の中でナポレオンが一番輝いている瞬間にもなっていた。
ダメだったとこ1 平板すぎる脚本
この映画を通じてナポレオンをどう描こうとしているのか曖昧なままエピソード繋いでいるせいで、大河ドラマの総集編のような切り貼り感を感じた。結婚した次のシーンではもう不仲になっているような構成が続いて、盛り上がりもなく淡々と進むのがつまらない。
ナポレオンにどんな野心があったのかも描かれておらず、この映画が目指した歴史観も曖昧で、こんな構成では3時間も付き合う価値がない。
ダメだったとこ2 キャラクターをつかめてないヴァネッサ・カービー
ヴァネッサ・カービーは、ジョセフィーヌという人物をどう演じようとしているのかまとまっていなかった。脚本では彼女をナポレオンの合わせ鏡のような描き方にさせているけど、恋多き女とマクベス夫人を足して2で割ったような雰囲気で演じてしまい、ナポレオンがなぜ彼女に惹かれたのかという説得力を欠いていた。
