マクガフィン

ナポレオンのマクガフィンのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.7
ナポレオンの革命家として冷静沈着に大きな武功を立てることとは裏腹に、妻ジョゼフィーヌへの愛や嫉妬などの様々な感情を抱く妙な関係性と数奇な運命を描く。ジョゼフィーヌのナポレオンへの献身的な努力が描かれていないことが興味深い。

前半のトゥーロン攻囲戦やアウステルリッツの戦いの戦闘を壮大な壁画なような構図でダイナミックでスペクタクルに描く映像センスに魅せられる。大砲の火薬の匂いや氷の冷たさなどが伝わるようにも。

ナポレオンとジョゼフィーヌの関係性に亀裂が生じると同時に、ナポレオンの戦闘での優位性が無くなっていくことは、シンプルにナポレオン式戦術に敵が適応しただけだと思うのだが。それでも、ナポレオンの武骨なまでに追い求め、莫大なリスクをとることを厭わなかった暗喩のようでもあり、感情的な欠陥を抱えた同志の波乱で奇妙な愛が何とも言えない感情を呼び起こす。