リドリー・スコットの絵画的構図の美しさ。どのシーンも構図が素晴らしくて、惚れ惚れ。あと、寒色のトーンで整った色彩と、そこに際立つナポレオンが着る軍服の赤色との対比。美しすぎます。かつ、決まりすぎていないバランスで撮っているのがかっこいい…。西洋絵画が歴史的事件を描く際の、人物やその動作の動的な瞬間を描く画力に近いものがありました。
ホアキン・フェニックスのナポレオンが素晴らしいです。ナポレオンとジョセフィーヌとの書簡のやり取りからは、ナポレオンの人間味と、ただ1人の人に惚れた「人」としてのナポレオンが見えてくる。ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスだからこそ、有意義な配役。
妻にマウントとってからの、妻からのマウント返しが最高。結局は、ナポレオンの気運は妻ありき…ですらある。
犬と戯れるナポレオンも最高。
戦争のシーンも大満足。
氷のシーンは予告で見ていた以上の迫力がありましたねー。あの罠にはかかりたくない。滑るし、湖水から這いあがろうとする味方に引っ張られてドボンだし…。
そして、コサック集団、怖〜。
えげつない…。
ラストのパタッと倒れる感じ、あの呆気なさ、「え？ここで終わり？」となる感じ、北野武の『首』を見た後だったこともあり、この呆気なさとも通じるものがあるな、と。
