ツクヨミ

ナポレオンのツクヨミのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
2.7
あくまでも冷ややかで人間だったナポレオンの半生。
リドリー・スコット監督作品。職人監督なリドスコが"ナポレオン"を題材にした話を手がけたとのことで楽しみに見に行ってみた。
まず映画史における"ナポレオン"を題材にした作品といえば半生丸々やったらしいアベルガンス版"ナポレオン"ぐらいしか無いと記憶している、かのキューブリックが"2001年宇宙の旅"の次に企画しプリプロダクションまで進んだが頓挫したある意味大変な題材だ。そんなキューブリックが復讐したかのような"バリーリンドン"と同じような"デュエリスト"を撮ったリドリースコットが"ナポレオン"を撮る、これは最早宿命と言うべきか。
結論から言えばキューブリック的とは全くならず、だがキューブリックが撮ってもけっこう似てたかもと感じた次第だった。そこはわりかし冷ややかなリドスコ視点もあるだろうがやはり皇帝にまでなったナポレオンを普通の人として描いたからだろう、政治や戦争と同時進行で妻のジョゼフィーヌとの性生活を強く描き出しもはやジョゼフィーヌ無しでは彼の成功はなかったと言わせてしまう栄枯盛衰劇に魅せられる。
しかしあくまでも淡々とし"デュエリスト"ばりに時系列の進み具合がぶつ切り感もあってなかなかに感情移入などさせない突き放した感じがなんかなーって感想を抱かせてしまう。栄枯盛衰の果てには何も無い無常感すら感じる作品だったと言えるか。
だがやはりリドスコ的な美ショットは流石にすごいし、戦闘シーンの力の入れ具合はなかなかに見応えあったのは確か。けっこう劇場案件だったのではなリドスコ最新作だったよ。
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