牛

ナポレオンの牛のレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
4.1
ナポレオンは元々軍人で類まれな指揮官であった。快進撃を続け、いつしか皇帝まで上りつめ無敵状態となる。

軽く歴史を知っていればここまでは皆さん周知の通り。しかし、その裏で生涯一途に愛したジョセフィーヌという女性がいたことは知らなかった。

彼女との間に子供をもうけることはなく、やむなく離婚することに。しかし離れ離れになってもお互い愛し続けた。

そんな無敵状態のナポレオンにも陰りが見え始める。ロシア遠征に失敗したのである。ロシアという国土の広さ、寒波の到来により軍隊は壊滅する。モンゴル帝国やナチスドイツも苦しめられた冬将軍に倒されたのである。

その責任をとって島流の刑に処されるのだが、脱出し再起を図る。そしてワーテルローの戦いで敗北しイギリスの監視下に置かれ、大西洋の孤島に流刑される。

最後の幼女たちとの会話が印象的。モスクワを焼き払ったのは私だ、といばって話していたのに、幼女はロシア人が占領されないために自ら火を放ったと言って笑っていた。

彼は世間から見たら裸の王様だったのかもしれない。

この映画を鑑賞して、どんな強大な人物や帝国であってもいずれ権力や力を失い、衰えていく。世界最強と謳われたフランス帝国ナポレオンであっても同じこと

歴史は古いものは消えてなくなり、新しいものが勃興する。そんなことを感じながらエンドロールを観ていた。

最後の幼女たちのナポレオンを小馬鹿にしたような笑いがそうさせたのかもしれない。
牛