「ナポレオン」と言えば、アベル・ガンスが監督したものを、フランシス・フォード・コッポラがその父のカーマイン・コッポラの演奏により復活させたものを見逃したままでいたが、ここにリドリー・スコットの手による新作が現れた。これはナポレオンの物語であると同時に、ナポレオンに愛されながら、子を授かることが出来ずに離婚せざるを得なくなったジョゼフィーヌの物語でもある。ぎこちなく赤子を抱きながら涙するナポレオン（この赤子はジョゼフィーヌと離婚後、オーストリア皇帝の長女マリー・ルイーズとの間に生まれた子）。険しい表情で戦場で指揮を執るナポレオン。そのどちらもナポレオンである。そのコントラストが面白い。そして戦闘シーンの迫力には目を見張った。
