◆あらすじ◆
江戸の下町の食堂で用心棒をしている浪人・赤牛弥五右衛門(勝新太郎)は同じく浪人の荒巻源内(原田芳雄)や母衣権兵衛(石橋蓮司)、土居孫左衛門(田中邦衛)と出会う。その頃、夜鷹(※)が次々と殺される事件が起きる。源内と旧知のお新(樋口可南子)を始め、街は騒然とする中、浪人たちも事件に巻き込まれていく。
※夜鷹
江戸時代に夜、道端で客を引いた娼婦のこと。
◆感想◆
戦の世を離れて浪人たちが食い扶持に困る時代に、個性的な浪人たちがそれぞれの思惑で動いていく姿を描いた作品となっており、不格好でも生き抜こうとする浪人たちのバイタリティが魅力的でした。
本作において善悪という観念は薄く、極めて利己的な人々の動きを上手く描いていて、赤牛や荒巻は金のために動き、母衣は惚れた女のために動いており、それが最初から最後まで変わらないので、感情移入する作品では無く、愉快な人々を観て楽しむ作品になっています。
その中で遊女のお新を金づるとして見る荒巻とお新に惚れ込んだ母衣の間で衝突があり、清廉な母衣の考えと意地汚い荒巻の考えが伝わってきて面白かったです。
剣術アクションは終盤にありますが、カッコ良いとはとても言えない荒巻のヨレヨレになりながら剣を振り回し、敵を斬っていく姿は今まで見たことのないチャンバラとなっていて面白かったです。
なかなか面白かったと思います。他の時代劇とは一味違う感じがして楽しかったです。
鑑賞日:2023年11月6日
鑑賞方法:BS松竹東急
(録画日:2022年9月2日)