ねむろう

コーポ・ア・コーポのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_235


人生って、ちょっぴり苦い
それでも、私は今日もここにいます。


【簡単なあらすじ】
家族のしがらみから逃げてきたフリーター・辰巳ユリ(25)、複雑な過去を背負い、女性に貢がせて生計を立てている中条紘(36)、日雇の肉体労働で日々を過ごし女性に対して愛情表現が不器用な石田鉄平(21)、過去の事こそ話さないが「コーポ」の一角の部屋で怪しげな商売を営む初老の宮地友三(66)。彼らは大阪の下町にある安アパート「コーポ」に住んでいる。ある日、コーポで暮らす同じ住人の山口が首を吊って死んでいるのを宮地が見つける。似た境遇で暮らす人間の死を目の当たりにして、ユリたちはそれぞれの人生を思い返し――。



【ここがいいね!】
大阪の街角にある一軒の古びたアパートに住む人々の群像劇を描いた本作。
私は原作漫画を読んだことがないですが、大阪の雰囲気がしっかりと感じられました。
また、群像劇ですので、登場人物それぞれのキャラクターや人生というものがキーになるわけですが、4人の話がオムニバス形式になっているということで、それぞれの話でそれぞれの人物に集中できるというところは、非常にわかりやすい作りになっていました。
そんな中で作品のテーマになっていたのは、「繋がり」なのかなと思います。
それぞれの登場人物と誰かの繋がりという面もあれば、脇役同士の繋がりまで描いた上で、繋がりの暖かさや冷たさも描いていました。
登場する人物それぞれにとって、繋がりがどんなものなのかが描かれ、話の中で形を変えていくところが面白かったです。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
それぞれの話がよくまとまってているので、特にないところではあります。
しかし、どうしてもそれぞれの話で出てくる登場人物は、それぞれの話の中で完結をしてしまうので、特に脇を固める人々に関しては少し記号的な印象になってしまっているなと感じます。
中条さんが魅了してしまう女性たちだったり、宮地さんが部屋の中で行っている訳ありな商売に関わる人たちだったり、その人たちにも何かしらの物語があるのかもしれませんが、そのあたりは良くも悪くも描かれずにスパッと終わらせた作品ではあるのかなと思います。



【ざっくり感想】
全く原作を読んでいなくても、非常に穏やかな雰囲気を実感できる作品でしたし、それぞれの物語やそれぞれの人生を垣間見ることができる良い作品でした。
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