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コーポ・ア・コーポのプライのレビュー・感想・評価

コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)
3.9
大阪の安アパートに住む入居者たちの日時と人間模様を描いたヒューマン・ドラマ。

2人の少年が売れっ子漫画家を目指す少年漫画『バクマン。』に、こんな感じのセリフがあった。平凡な日常…、例えば中学生が朝起きて飯食って学校に行くという普通の生活を面白く描けたら凄いですよね。本作は、その言葉を具現化したような作品である。劇的なストーリー進行やケレン味の効いた演出は一切なく、いつもと変わらない日常と、いつもと少し変わった出来事を組み合わせ、我々が生きる現実世界の日常と同等の日常を描いている。それなのに面白おかしく楽しめるし、鑑賞後はほんのりと良い気分になって満たされる。

何気ない日常を現実世界と同じ温度感で描いているのに、本作へ引き込まれる要因としてはアパートに住む者たちの関係性が魅力的であることが考えられる。互いに助け合いをする。だが、過干渉はしない。聞こえが良すぎるかもしれないが、助けて欲しい時や一緒に居たい時だけ近くに居てくれる。個人としてのプライベートと同じアパートに住む者としての共同体の棲み分けを線引きし、擬似家族・宗教団体・町内会といった固い結び付きの集団から若干、緩んだ絶妙な距離感を保っている。これは集団組織における一種の理想形ではないかと思える。きっと、本作を観て好きになった方は、本作の舞台であるアパート「コーポ」に引っ越して、劇中に出てきた住人たちのように生活を送ってみたくなった方もいると思う。そういった入居希望が芽生えてしまうのが本作の魅力だと考える。

あと本作は、2022年に公開された邦画『川っぺりムコリッタ』に似てる。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計15個
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