染夫木智也

火の鳥 エデンの花の染夫木智也のレビュー・感想・評価

火の鳥 エデンの花(2023年製作の映画)
4.0
人の欲とは魅力的であり、愚かである。

監督は鉄コン筋クリートのキャラクターデザインや、日本とフランスとの合作「ムタフカズ」を監督されていた西見祥示郎さん。

私にとっては火の鳥とは、本作を見るまでは全く見たことなかった作品だった。
日本という名前の無い時代から宇宙までに乗り出す時代を舞台としており、そのさまざまな時代の中で、その血を飲んだ者は永遠の命を得られるされた火の鳥と人類を描いた話。

全12編から作られており、1986年にシリーズ最終作「太陽編」が発表された。実はそれ以降、物語を書き残しており、2019年に小説として「火の鳥 大地編」が発表された。

シリーズの中で、鳳凰編、宇宙編などはすでに映像化されているが、地球と宇宙の未来を描いた「望郷編」はいまだ映像化されておらず、本作が初めてとなる。

■あらすじ
わけあって地球から逃亡してきたロミと恋人のジョージは未開の星を新天地として子供産み、あらたな生活を過ごしていた。しかし、ある事故でジョージは命を落としてしまう。このままだと息子を一人残してしまうと考えたロミは息子の寿命とあわせるため、コールドスリープに入り、13年間眠りにつく予定だったが、トラブルで1300年眠りにつくことに。
ようやく目を覚ましたロミが外にでると、大きな町ができあがっていた。。。

本当に手塚治虫は天才である。
どうやって思いつくの??というアイデア。
図書館においてあったのに読まなかったことを今さら後悔している。
1300年の時間を超えるって発想が壮大すぎるし、超展開の数々でシーンごとに「え、次どうなるの?」っていうわくわくが止まらない。それだけではなく、同時に毎回絶望的な展開がセットでやってくるのも、たまらなかった。人の欲の描きかたとか、マジでおそるべし、手塚治虫。
また、その後原作を読んだんやけど、あるストーリーの量を95分間におさめるとは西見監督おそるべし。

ストーリも素晴らしいけど、それを美しく、そして不気味に表現していた「studio4°C」のデザイン力もすばらしかった。

95分と短いため、あっさりとした印象をうけるけど、
見終わったあとに残る切なさと余韻を深く浸らせるエンディング曲とのマッチ。まさに神話をみたような気持ちになる作品だった。

映画と異なるラストについてはディズニープラスでもみれるので、気になった人はみてほしいかな