空きっ腹に酒

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版の空きっ腹に酒のレビュー・感想・評価

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友人の恋バナを長々と聞かされて、最終的に、はいはい、もう勝手にやっといてくれよ。って思っちゃうやつに似てるなあ。あまりに主体性がない男、自分から別れを告げた経験もなく、形が自由自在に変わる水のよう、愛も気持ちも流れのままに。同棲する女がいるのに、別の女(元カノ)に求婚して、フラれてその日にナンパ。そしてナンパ女との浮気。「男の人っていくつも愛を持っているのね ああ あちこちにばらまいて わたしを悩ませるわ」脳内でうる星やつらが再生されちゃう。堂々と浮気して、というか恋人にもナンパ女を会わせて、ずるすぎる。が、正直、自由で素直で最高すぎて面白い以外の何物でもない!し、あまりにひどい(≒自分勝手な)有り様が若い頃の自分のようで何も言えねえ…!わたしも昔、恋人のいるひとと恋仲にあった、彼らのように直接的なやり取りすらないものの、毎週火曜と木曜だったかな、わたしと会う日になっていて、第一彼女は彼を送り出すのだ。セックスの時はゴムをつけなさい、それと必ず帰ることが条件。だった気がする。ああ、泊まりは良かったんだっけっかな、もう記憶が曖昧だけどわたしは彼女公認の第二の女だったのだ。それとは別で、男と同棲してた時に、彼とのセックスに満足出来なくて、別のめちゃくちゃに相性のいい男のとこに行ったこともある。彼に半分泣きながら「行っちゃうの…?」って聞かれた気がする、これも記憶が曖昧だけど。振り返ってみれば、あまりに身勝手で最低だな。妊娠したかも、の発言に結婚して!の流れ、彼は本当は変わらぬ愛が欲しかったのかな。愛が宿った先にあるのが妊娠だと思ったのかな。結婚と子どもがすべてじゃないし、そのあとの生活次第では愛なんて幻想でしかないんだけど…勝手にしてくれ、と思いつつも気になってしまう、どうなったんだろう、あの3人は(わたしはマリーに幸せになってほしいよ)。愛に執着すると死に至る、んだっけ、たしかにそうかもね。好きな相手を自分だけのものにしたくてでも出来なくて、苦しくて自殺してやろうと思うとか、気を引きたいだけなのか本気なのか、分からないけど。それはあくまでもエゴでしかないのにね。愛はほんとうは彼らのように自由でいいはずだから。それにしてもよくセックスするな、セックスなんてどうでもいい、って言うくせにセックスするの、それ、まだ本当の「セックスなんてどうでもいい」に至ってないかんな。どうでもよければ人生にそれはないの、まじで、ただ枯れていくだけなの。どうでもよければしなくなるんだよ、最後は。ただあの女のセックスが重要なものじゃないから誰にでも抱かれちゃうのん、わたしも経験あるからちょっと泣きそうだった。大事じゃないから、誰とでも出来るの、挨拶するみたいに簡単に。娼婦でも肉便器でもなくて、ただちんことまんこがあるからするだけ、それだけのことなんだよな。ただ愛してないひととのそれはセックスとは呼べないんだよ。生まれて死ぬ、いきものの人生は、ただそれだけのこと。エクスタシーは小さな死、セックスの中でも死を感じて、わたしたちはそんなふうに少しずつ死に近付きながら生きてるのかもしれない、なんてことを思ったような思わなかったような。とにかく219分、尿意を催さぬよう酒も飲まずに頑張った自分と自分のケツを褒めちぎりたい気持ちでいっぱい。酒ばっか飲んで煙草ばっか吸ってカフェや部屋で中身があるんだかないんだか分からんような会話してセックスして。アホやな、どうでもええわ、と思いつつ、こんなもんだよな男と女って。どうしようもないんだよな。って思った映画だった。どうしようもないのに、いつかまた観たい。
空きっ腹に酒

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