囚人13号

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版の囚人13号のレビュー・感想・評価

3.6
2時間だと殺意に魘されるが、この尺まで持続されると悟りに入るので人間は単純なんだなと思ってみたり。

会話に次ぐ会話と喫煙によって行為は悉く切除され、不条理なほどアクションが制限されたままショットを引き伸ばしていく遅延行為こそ醍醐味なのだろうが、果たしてそれが本当に素晴らしいのか。
頻用される教科書通りの切り返しショットが肉体関係を持った後に反復される際、一箇所のみ真正面からに変わっていてレオーの感情をカメラが代弁する構造は革命的。

彼が本性を現す布団の中こそが映画内の現実であって、逆に立ち上がり無気力に生きる姿は歪んだ知性のゴミジョーク製造機でしかなく、服を着ているうちはずっと荒廃した時間が流れている。
ただ唯一の自己証明である性欲を満たす窓口を複数設けてしまった結果多層化によりハーレムが誕生し、絶対の法則であった聖域(布団内)における男女一対の構図が崩れると二人の女性を前にしたレオーのアイデンティティ=ペニスは萎縮するほかない。

屋外のショットが悉く『勝手にしやがれ』の模倣に思えてしまうのは何故だろう
囚人13号

囚人13号