イワシ

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版のイワシのレビュー・感想・評価

4.6
再見。ラジオが嘆く現代の仕事ように座りっぱなしの映画。カフェで座り、車内に座り、マットレスに座る。必然的にバストショットが多様されるが、にもかかわらず生々しい迫力の画面。夜中に押しかけてきたフランソワーズ・ルブランが服を脱ぐために立った瞬間のアクションつなぎの見事さ

ベルナデット・ラフォンがエディット・ピアフのレコードを聴く3分ほどある場面。レコードの回転、呼吸に合わせて上下する胸とその上に組んだ手、頭部/視線の微かな動き、感情が決壊したかのように手で顔を覆う動作。固定画面と円環とやがて静かに炸裂するアクションによる生の時間の迫力

友人が読んでいるナチの研究書の図版で縄で首を吊られている女の写真を見て本を投げ捨てるレオーの首には常にスカーフが巻かれているし、その直後雑誌にある残像を利用したカエルあそびで天井を見上げて笑うレオーには先程の首吊り写真の記憶は微塵も残ってなさそう、というギャグ?

ラフォンとルブランに口紅を塗られたレオーが「男にモテる」「肛門を犯されてこい」と囃された(ヒドイ)次のカットは、ベッドに潜り込んだレオーの何やら落ち着かない様子の表情を捉えたショットで、一瞬ほんとうに男と寝たように思わせる編集をしている。
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