@渋谷ユーロスペース
『みんなのジャック・ロジエ』にて。
ジャック・ロジエ長編デビュー作… にして、この時すでにその後のお家芸、ヴァカンス路線の物語を描いている。
若い二人の娘と、まもなくアルジェリア戦争に出兵していく青年。
でも、その行く末を感じさせる暗い部分は皆無で、むしろ三人の恋の行方を傍に置きながら、一夏の眩い尊さの中、思い切り生を謳歌する様が清々しい。
一つ一つの破顔一笑や馬鹿騒ぎやいがみ合いやダンスはたわいも無いものだし、恋の行方さえもけっきょく有耶無耶なままだけれど、離れ離れになって後から思うと、そのどれもがある夏の一瞬の輝きを宿している。
あとで二度と手に触れられないもの、だからこその切ない輝き。