おかちゃん

アデュー・フィリピーヌ 2Kレストアのおかちゃんのレビュー・感想・評価

3.1
一言で言えば仏🇫🇷版「アメリカングラフィティ」。しかし、映像的実験や若者の閉塞感と苦悩、そして暴走の感性とリアルさでは、こちらの方が私には好感持てた。'60年代前夜の薄っぺらな平和と鬱屈した閉塞感を、軽く笑い飛ばしながら旧世代➡️新世代への変化を、新たに登場して来たPopular Musicを効果的に挟み雰囲気を作り出す。

▪️映画は、即興的長回しを多く取り入れているので、尺が長いのは事実。だが、ヌーベルバーグ前夜の実験的段階では成功してる方だと感じた。
▪️そもそも即興なんて'50年中期からJazz&Rockで試みられたが、純粋即興は余程のテクニックがなければ成功してないし、それを記録し、その時空間が終わった後で追体験しても、本物の凄さは何処まで解るか?だからLiveの面白さがある。というのが私の持論。なので、この後のゴダール作品の方が即興演出は洗練されているし、作品内で効果的に用いられている。だからといって、ロジェがボンクラとは言わない。
▪️ヒロイン二人がパリ街路を楽しそうに歩く撮り方は、これ以降のドラマ等で使われていく。
▪️しかし、仏人は余程南仏(地中海)に憧れがあるんだね⁉️各言う私も20歳代は海🌊に憧憬はあった。やはり、海は若者の特権?市街地の展開は、もどかしさ感があったが、南島に移動するととたんに弾ける。
▪️エンドの出港と見送るヒロイン達の長回し撮影は、この映画主題のオマージュに思えた。

「恋愛ごっこより、もっと大切な事があるんだ❗」叫ぶ彼と、一呼吸おいて笑い転げるヒロイン二人。これをどう解釈するかは、鑑賞者次第だが平和ボケした日本人には、本当の切迫感はわからんだろう…😢