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フィフィ・マルタンガル デジタル・レストアのcyphのレビュー・感想・評価

3.8
あんま面白くなさそうだから去年は見送ったけどこれ観たらロジエ長編コンプリートだな、と思ってメーヌオセアン(再見、変わらずラブすぎ)と二本立てで鑑賞 序盤わりとうとうとしてしまったけど舞台現場をいったん離れて田舎のカジノに向かう以降は案外面白くロジエ独特のわからなさを包含したまま物語が転がり進んでいく感覚で満ちてて楽しかった フィフィが首元の黒いふわふわをプップーと口にしながらふかふか鳴らすとバカ勝ちする、ていう設定のバカバカしさに反してディーラーのレーキ捌きを淡々と追うショットの気持ちよさったら

舞台自体はぜんぜん上手くいかないままなオープニングナイトで笑った ロジエはやっぱり言葉の世界の住人が非言語の住人(メーヌオセアンの漁師、本作のスペイン風小劇団の男とその友人たちwithギター)をはちゃめちゃにして言葉を超えた一夜限りのグルーヴが起きる、ていうシーンに萌えのある人なんだとうれしかった あと俳優陣もメーヌオセアン組でうれしい、たしかに二本立てで観る甲斐がある

役者を下ろされたプチガ役のおじさんがプロンプターボックスでキレ散らかした上にシェフ役2として乱入してケーキを顔面に叩きつけた瞬間映画全体に立ち昇る あ〜もうしょーもなどうにもなんないね の白け感もいい お酒と混乱で失敗フラグ立ちまくりの舞台においてオープニングナイトのような特別な奇跡が特に起きるでもなく、フィフィがなんとなく歌って踊ってジャン!で終わるのも逆に舞台と生身の役者を真に信じててよかった
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