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ジョー・ブラックをよろしくのmihoのレビュー・感想・評価

4.7
いかに人生が儚く美しいのかを実感する素晴らしい作品だった。人生=愛というよくある命題を置いた作品であるもののその描きかたが洗練されている。

社会学的な要素を感じる部分があった。社会学では、未開社会に入り込みその文化を内側から理解するというフィールドワークという手法がよく取られているが、死神のジョーはまさにそれを行なっている。そのため、本作をジョーの立場で視聴すると“生”とは何かを客観的に見つめることができる点で興味深い。

また、演出にもこだわりを感じる。所々演出で生花や花火などが出てくるが、それらは愛とか人生とかの儚く美しいものを表象しているようで我々の身近なものを用いてその儚さを訴えてくる。他にも生と死に関わる対立があるため映画を視聴しながらそのコントラストを楽しんでいただきたい。

恋愛映画のようにわかりやすい起承転結があるわけでも、ミステリーやアクションのようなどんでん返しがあるわけでもなく、淡々と3時間時間が過ぎていくが、それもまた人生のようで長く、でもあっという間に終わってしまった。長丁場のため映画初心者はやや退屈に感じるかもしれないが是非観ていただきたい。

人生について考えることが好きな人
生きることに辛さを感じている人
映画好きな人

おすすめです。
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